〔如水日記〕

四日
一 桃青事(門弟ハ、芭蕉ト呼)、如行方に泊り、所労昨日より本復の旨承るに付き、種々申し、他者故、室下屋にて、自分病中といへども忍びにて初めて之を招き対顔。その歳四拾六、生国は伊賀の由。(一部略)
尾張地の俳諧者越人・伊勢路曾良両人に誘引せられ、近日大神宮御遷宮これ有る故、拝みに伊勢の方へ一両日の内におもむくといへり。今日芭蕉体は布裏の本綿小袖(帷子ヲ綿入トス。墨染)、細帯に布の編服。路通は白き木綿の小袖。数珠を手に掛くる。心底計り難けれども、浮世を安く見なし、諂はず奢らざる有様也。

五日
一 芭蕉・路通明日伊勢の地へ越ゆる由申すに付き、風防のため南蛮酒一樽・紙子二表、両人の頭巾等の用意に仕り候様に、旅宿の亭主竹島六郎兵衛ところまで申し遣はし畢ぬ。



貴重な証言に満ちていますね。

「心底計り難けれども、浮世を安く見なし、諂はず奢らざる有様也。」

ところで、如水が芭蕉の宿に贈ったという「南蛮酒」とは何だったのでしょう。そもそもどうして如水の手元にあったのでしょうか・・・。

伊勢への旅立ちは、間近。。。