2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

《おくのほそ道》四月廿四日 〔027〕

《おくのほそ道》この宿の傍に、大キ成栗の木陰をたのみて、世をいとふ僧有。橡ひろふ太山もかくやと、しづかに覚られて、ものに書付侍ル。其詞、 栗といふ文字は、西の木と書て、西方浄土に便ありと、 行基菩薩の、一生、杖にも柱にも、此木を用給ふとかや…

歌仙(風流の)

奥州岩瀬郡之内、須か川、相楽伊左衛門ニテ初折表 1 風流の初めやおくの田植歌 翁 2 覆盆子(いちご)を折て我まうけ草 等躬 3 水せきて昼寝の石やなをすらん 曾良 4 びくにかじかの声生かす也 翁 5 一葉して月に益なき川柳 等 6 雇にやねふく村ぞ秋な…

追記〔乍憚斎(等躬)〕

「乍単」・・・。ちょっと気になりながら調べないままになっていましたが、これは略記らしく、ほんとは「乍憚」のようです。???、これは「憚(はばか)りながら」ですよね。じゃぁ「等躬」の意味はなんだろう?。 歌仙の句からは、少し生真面目な人かなと…

《おくのほそ道》四月廿三日 〔026〕

すか川の駅に、等窮といふものをたづねて、四五日とゞめらる。先白河の関いかにこえつるにやと問。長途のくるしみ、身心つかれ、且は、風景に魂うバヽれ、懐旧に腸を断て、はかばかしう、おもひめぐらさず。 風流の初やおくの田植うた 無下にこえむもさすが…

《おくのほそ道》四月廿二日 〔025〕

《おくのほそ道》(とかくして越行まゝに、あふくま川を渡る。)左りに、会津根高く、右に、岩城、相馬、三春の庄、常陸、下野の地をさかひて、山つらなる。かげ沼と云所を行に、けふは空曇りて、物影うつらず。 すか川の駅に、等窮といふものをたづねて、四…

《おくのほそ道》四月廿一日 〔024〕

《おくのほそ道》心もとなき日かず重るまゝに、白河の関にかゝりて、旅心定りぬ。いかでみやこへと、便もとめしも断なり。中にも、此関は、三関の一にして、風騒の人、こゝろをとゞむ。秋かぜを耳に残し、もみじを俤にして、青葉の梢猶あはれ也。卯の花の白…

《おくのほそ道》四月二十日 〔023〕

《おくのほそ道》又清水流るゝの柳ハ、芦野の里にありて、田の畔に残る。此所の郡守戸部某の、此柳見せばやなど、折々にの給ひきこえ給ふを、いづくのほどにやと、思ひしを、けふこの柳のかげにこそ立寄侍つれ。 田一枚植て立ち去ル柳かな 《曾良随行日記》…

《おくのほそ道》四月十九日 〔022〕

《おくのほそ道》殺生石は、温泉の出ル山陰にあり。石の毒気いまだほろびず、蜂、蝶のたぐひ、真砂の色の見えぬほど、かさなり死ス。 《曾良随行日記》一 一九日 快晴。予、鉢ニ出ル。朝飯後、図書家来角左衛門ヲ黒羽ヘ戻ス。午ノ上尅、温泉ヘ参詣。神主越中…

《おくのほそ道》四月十八日 〔021〕

《おくのほそ道》是より、殺生石に行。舘代より馬にて送らる。 《曾良随行日記》一 十八日 卯尅、地震ス。辰ノ上尅、雨止。午ノ尅、高久角左衛門宿ヲ立。暫有テ快晴ス。馬壱疋、松子村迄送ル。此間壱リ。松子ヨリ湯本ヘ三リ。未ノ下尅、湯本五左衛門方ヘ着。…

《おくのほそ道》四月十七日 〔020〕

《おくのほそ道》是より、殺生石に行。舘代より馬にて送らる。 《曾良随行日記》一 十七日 角左衛門方ニ猶宿。雨降。野間ハ太田原ヨリ三里之内鍋かけヨリ五六丁西。 《俳諧書留》みちのく一見の桑門、同行二人、なすの篠原を尋て、猶、殺生石ミんと急侍るほ…

《おくのほそ道》四月十六日 〔019〕

《おくのほそ道》舘代より馬にて送らる。此口付のおのこ、短尺得させよと乞。やさしき事を望侍るものかなと、 野をよこに馬牽むけよ郭公 《曾良随行日記》一 十六日 天気能。翁、舘ヨリ余瀬ヘ被立越。則、同道ニテ余瀬ヲ立。及昼、図書弾蔵ヨリ馬人ニ而被送…

《おくのほそ道》四月十五日 〔018〕

《おくのほそ道》黒羽の舘代、浄坊寺何がしの方に、音信ル。 日夜語つゞけて、其弟桃翠など云が、朝夕勤とぶらひ・・・、 《曾良随行日記》一 十五日 雨止。昼過、翁と鹿助右同道ニテ図書ヘ被参。是ハ昨日約束之故也。予ハ少々持病気故不参。 曾良は持病があ…

歌仙〔秣おふ〕

那須余瀬翠桃を尋て初折表 1 秣(まぐさ)おふ人を枝折(しおり)の夏野哉 芭蕉 2 青き覆盆子(いちご)〔を〕こぼす椎の葉 翠桃 3 村雨に市のかりやを吹きとりて 曾良 4 町中を行く川音の月 はせを 5 箸鷹(はしたか)を手に居(すえ)ながら夕涼 翠桃…

《おくのほそ道》四月十四日 〔017〕

《おくのほそ道》黒羽の舘代、浄坊寺何がしの方に、音信ル。 日夜語つゞけて、其弟桃翠など云が、朝夕勤とぶらひ・・・、 《曾良随行日記》一 十四日 雨降リ、図書被見廻終日。重之内持参。 四月十四日、この日、翠桃の屋敷で歌仙が巻かれたと、ある解説には…