《おくのほそ道》六月八日 〔070〕

坊に帰れバ、阿闍梨の求に仍て、三山順礼の句々、短冊に書。

 涼しさやほの三か月の羽黒山

 雲の峯幾つ崩て月の山

  語られぬ湯殿にぬらす袂哉

 湯殿山銭ふむ道のなみだかな   曾良

曾良随行日記)

〇八日 朝の間小雨ス。昼時ヨリ晴。和交院御入、申ノ刻ニ至ル。


和交院(正しく?は和合院)=別当代会覚


俳諧書留」には、芭蕉の句として

 雲の峰幾つ萠レて月の山     

 掠風やほの三ヶ月の羽黒山

 語れぬ湯殿にぬらす袂哉

曾良の句として

 月山や鍛冶が跡とふ雪清水       

 銭踏て世を忘れけりゆどの道    

 三ヶ月や雪にしらげし雲峰

が、記されています。
芭蕉の句は、最終形と比べてください。