追記(2004.05.21)

上にはふれてないが、不思議なことを芭蕉はしている。
「浄坊寺何がし」「其弟桃翠」とは、これ如何に・・・。
那須の黒ばねと云所に、知人あれば」と言っておきながら、その知人――彼等は、江戸で芭蕉の弟子であった人びとだというし、黒羽で10日以上世話になった恩人である。――を“何がし”は無いだろう。
それだけではない。正しくは〔浄坊寺〕は〔浄法寺〕、〔桃翠〕は〔翠桃〕である。誤字に、文字の入れ違い、これは記憶間違い?、書き間違い?・・・。

そんなことで驚いてはいけない!。芭蕉は、その直前に「ちいさき者ふたり、馬の跡したひてはしる。ひとりは小娘にて、名をかさねと云。」と、幼女の名を尋ね、「聞なれぬ名の、やさしかりけれバ・・・」と、名前にこだわった印象的なコメントを付しているのである。
にもかかわらずである、その直後に、なつかしき知人の名をぼかし、間違った(?)紹介の仕方をしているのである。

この「奇行」最後に、登場人物の一覧表を掲載する予定だが、芭蕉の「ほそ道」中の、人名には注目である。そう思いませんか?。