《おくのほそ道》五月二十四 〔056〕

尾花沢にて、清風と、云ものを尋ぬ。
かれハ、富るものなれども、心ざし、いやしからず。都にも折々かよひて、さすがに旅の情をも知たれバ、日比とヾめて、長途のいたはり、さまざまにもてなし侍る。


涼しさを我宿にしてねまる也


這出よかいやが下のひきの声


まゆはきを俤にして紅粉の花


蚕飼する人は古代のすがたかな  曾良

曾良随行日記)

廿四日之晩、一橋、寺ニテ持賞ス。十七日ヨリ終日清明ノ日ナシ。


○秋調 仁左衛門。 ○素英 村川伊左衛門。 ○一中 町岡素雲。 ○一橋 田中藤十良。 遊川 沼澤所左衛門。 東陽 歌川平蔵。 ○大石田、一栄 高野平右衛門 ○同、川水 高桑加助。 ○上京、鈴木宗専、俳名似林、 息小三良。 新庄、渋谷甚兵ヘ、風流。


尾花沢に来てからちょうど1週間。“終日清明ノ日ナシ”!!。

列記してあるのは、尾花沢で親交を結んだ人々のリスト?。
清風自身は、紅花の摘み取り時期にあたっていたため仕事に忙殺されていたのではなかろうか。お蚕さんもいるし。


稲、蚕、紅花。芭蕉の眼前には、いやおうなく当時の都市文化を支えていた自然と一体の生が展開されていくようです。