《おくのほそ道》五月二十九日 〔061〕

もがみ川乗らんと、大石田と云ところに、日和を待。爰に、古き俳諧のたね、落こぼれて、わすれぬ花のむかしをしたひ、蘆角一声の、心をやハらげ、此道にさぐりあしして、新古ふた道に、ふミまよふといへども、道しるべする、人しなければと、わりなき一巻を残しぬ。

曾良随行日記)

一 廿九日 夜ニ入小雨ス。発、一巡終テ、翁両人誘テ黒滝ヘ被参詣。予所労故、止。未尅被帰。道々俳有。夕飯、川水ニ持賞。夜ニ入帰。


異質な文章が、並存してますね。


ところで、曾良さん大変お疲れのようです。一英、川水との4人で歌仙を始め芭蕉の発句から一巡したところで、黒滝山向川寺に行くことになりましたが曾良は「所労ゆえ」一英宅で待機でした。この歌仙はこの日完結しなかったようです。