《おくのほそ道》六月六日 〔068〕

八日、月山に登ル。木綿しめ身に引かけ、宝冠に頭を包、強力と、云ものに道びかれて、雲霧山気の中に、氷雪を踏てのぼる事八里、更に日月行道の、雲関に入かとあやしまれ、息絶へ身こゞへて、頂上に臻れば、日没て、月あらはる。笹を鋪、篠を枕として、臥て明るを待。

 雲の峯幾つ崩て月の山

曾良随行日記)

〇六日 天気吉。登山。三リ、強清水。ニリ、平清水。ニリ、高清。是迄馬足叶道(人家、小ヤガケ也。)弥陀原、こや有。中食ス。(是ヨリフダラ、ニゴリ沢・御浜ナドヽ云ヘカケル也。)難所成。御田有。行者戻リ、こや有。申ノ上尅、月山ニ至。先、御室ヲ拝シテ、角兵衛小ヤニ至ル。雲晴テ来光ナシ。夕ニハ東ニ、旦ニハ西ニ有由也。

「ほそ道」本文が、月山登拝は八日だと書いてあったので、油断していたらなんのことはない、「息絶へ身こゞへて」月山(1980m)に登ったのは六月六日でした!。
「笹を鋪(しき)、篠を枕として、臥て明るを待。」とあるが、山小屋(角兵衛小屋)泊まり。